左右対称の建具、対になった部屋、振り分けの階段。Jw_cadで「反転してコピーしたい」場面は、毎日のように出てきます。そのたびに、反転の基準にする線をわざわざ引いていないでしょうか。引いて、反転して、あとで消す。1回20秒でも、1日30回なら10分です。
実はJw_cadには、基準線をまったく引かずに反転コピーする方法があります。コントロールバーの「倍率」欄に -1 を入れるだけです。この記事ではその手順と、2026年のVer.10.03から増えた注意点をまとめます。
反転のやり方は2通りある
Jw_cadで図形を反転させる方法は、大きく2つです。どちらも「複写」「移動」コマンドの中にあります。
① 「反転」ボタンを使う方法
範囲選択 → 複写 → コントロールバーの「反転」ボタン → 反転の軸にしたい線をクリック。好きな角度の線を軸にできるのが強みです。斜めの壁に対して振り分けたいときは、これしかありません。ただし、軸になる線が図面に無ければ、補助線を引くところから始めることになります。
② 「倍率」欄に -1 を入れる方法
範囲選択 → 複写 → コントロールバーの「倍率」欄に -1,1 と入力 → Enter。基準線はいりません。反転できるのは縦・横の向きだけですが、実務で出てくる反転の大半は縦か横です。
つまり、斜めの軸で反転したいときだけ①、それ以外は②と使い分ければ、補助線を引く手間がほとんど無くなります。
覚える値は3つだけ
倍率欄に入れるのは「横方向の倍率, 縦方向の倍率」です。マイナスを付けた方向が、ひっくり返ります。
-1,1── 左右反転(横にひっくり返す)1,-1── 上下反転(縦にひっくり返す)-1,-1── 上下左右とも反転(180°回転と同じ結果)
操作の手順
- 「範囲選択」で対象を囲む(始点を左クリック、終点をクリックして確定)
- 「複写」(または「移動」)をクリック
- コントロールバーの「倍率」欄に
-1,1と入力して Enter - 置きたい位置でクリック
倍率欄はプルダウン(▼)にもなっていて、-1,1・1,-1・-1,-1 は候補として最初から入っています。手で打たずに選ぶだけでも構いません。
なお、倍率を入れたあとマウスに付いてくる「影」(プレビュー)が元の向きのまま見えることがありますが、これは表示上のことです。置く位置をクリックした瞬間には、ちゃんと反転して配置されます。
拡大・縮小と反転を、同時にできる
倍率欄なので、1 以外の数字も入れられます。
-0.5,0.5── 半分に縮小しながら左右反転-2,2── 2倍に拡大しながら左右反転-1,1── 大きさはそのままで左右反転(いちばん使うのはこれ)
「反転」ボタンでは大きさを変えられないので、縮小と反転を1回で済ませたいときは倍率欄一択です。
Ver.10.03から、文字が「鏡文字」になることがあります
ここが今回いちばんお伝えしたい点です。
Jw_cadは2026年9月5日公開のVersion 10.03.6が最新です(2026年9月時点)。このVer.10.03で「反転するときに文字も反転させる」仕様が追加されました。そのため、以前と同じ操作をしているのに、文字だけ裏返し(鏡文字)になることがあります。
対処はチェック1つ
複写・移動コマンドの最中に「作図属性」(作図属性設定)を開き、「文字も倍率」のチェックを外してから反転してください。チェックが入っていると、文字まで一緒にひっくり返ります。すでに鏡文字になってしまったら、「戻る」で取り消してから、チェックを外してやり直します。
ブロック図形は、チェックを外しても反転することがあります
Jw_cadの解説書でおなじみのObra Clubが2026年5月に報告している症状です。反転の対象に「文字を含むブロック図形」が入っていると、「文字も倍率」のチェックが無くても文字が反転してしまうことがあります。ブロックを含む範囲を反転したときは、置いたあとに文字を目で確認してください。どうしても直らない場合は、ブロックを解除してから反転する方法があります。
文字を選択に「入れない」という手もあります
Jw_cadの範囲選択は、終点を左クリックすると文字は選ばれず、右クリックすると文字も選ばれます。文字を動かす必要がないなら、そもそも終点を左クリックで確定して図形だけ反転させるのが、いちばん確実です。
反転したあと、ここだけ見てください
反転は「向きが変わる」操作です。図形としては正しくても、図面としては間違いになることがあります。置いたあとに次の3つだけ確認すれば、ほとんどの事故は防げます。
- 建具の吊り元(開き勝手) ── 左右反転すると開く向きが逆になります。本当にそれでよいか
- 文字・記号の向き ── 上で書いた鏡文字。特にブロックを含む範囲は必ず見る
- 通り芯やレベルの符号 ── 位置は合っていても、記号の指す向きが逆になっていないか
私達の現場でも、反転で一番多い手戻りは吊り元です。図面を出す前に「開き勝手だけ見る」と決めておくと、後の訂正がぐっと減ります。
私達の現場から
家具図や建具の展開図では、左右対称の部材を作る場面が本当に多く、倍率欄への入力は1日に何十回も使います。私達の現場では、キー1つで倍率欄に -1,1 を流し込む常駐ツールを自作して使っているほどです。
もっとも、道具を作らなくても効果は十分あります。「反転のために補助線を引くのをやめる」、まずはこれだけで作図は目に見えて速くなります。
倍率欄や作図属性のような「知っていれば一瞬、知らないと遠回り」という操作は、Jw_cadにたくさんあります。横浜・鶴見の実践型CAD教室セットアップでは、実務でそのまま使える操作を、お一人おひとりの仕事に合わせてお教えしています。無料体験講習も受け付けていますので、お気軽にお越しください。
まとめ
- 反転コピーに基準線はいりません。倍率欄に
-1,1(左右)/1,-1(上下)/-1,-1(180°) - 斜めの軸で反転したいときだけ「反転」ボタン+基準線
- 倍率欄なら縮小・拡大と反転を1回でできる(
-0.5,0.5など) - Ver.10.03以降は「文字も倍率」のチェックを外す。ブロック内の文字は反転後に目視確認
- 置いたら吊り元・文字の向き・符号の向きの3点だけ見る